2.
第二話 類は友を呼ぶ
私、財前マナミ。旧姓は石井。カオリと2人で財前姉妹って言われる後の麻雀プロよ。ここではまだ女子高生だけど。
物語は高2の春に始まったわ。
私達は高2の春頃に親の再婚で一緒に暮らす事になって。同じ部屋を2人で分けて使ってたからプライバシーなんか無かったわ。(特にカオリには)でもそれが今では良かった気がするの。おかげでカオリが私と同じ趣味を持っていることにすぐ気付けたから。
カオリの部屋には麻雀の本が沢山あった。雑誌、漫画、戦術書。ここから察するにカオリの麻雀は理論で詰めてくものなのかも知れないと推測できた。
私は全く逆で、私の持ってる麻雀グッズと言えば携帯型ゲーム機の麻雀やリアルな麻雀牌など実戦ありきで、私は実戦経験を何より大切にするタイプなの。
だから私はこれは好都合と、カオリから学んでこうと思った。
「麻雀部作んない?」
私は提案した。カオリには将棋部から探してもらうことにした。将棋部なら麻雀好きもいると思ったのだ。私は隣の席の黒髪の美少女を誘うつもりだ。彼女は佐藤ユウさん。普段は耳の隠れた髪型をしてるが私は隣の席だから彼女がピアスをあけてるのを知っている。そのピアスは小さなサイコロが2つピンゾロになってるピアスだった。サイコロを2つ使う遊びは麻雀しか私は知らない。きっと彼女は麻雀をする。そんな気がする。
「佐藤さん。今日ちょっと放課後時間あるかな」
私は佐藤ユウに話しかけてみた。
◆◇◆◇
私は佐藤ユウ。少し歳の離れたお兄ちゃんが大好きな普通の高校2年生。うちは共働きで両親とも家にいなかったり家でも仕事してたりして小さい頃から私はお兄ちゃんに面倒を見てもらって育った。
そのお兄ちゃんも今では仕事に出ちゃってるからあまり遊んでくれないし。
わかってるよ。高校2年生にもなったらお兄ちゃんと遊んでる方が変なんでしょ。でも、私はお兄ちゃんと2人でやる麻雀が好きだったな。お風呂掃除とかゴミ出し係とか今日の晩御飯作るとか、そんなことを賭けてやる麻雀。おやつのプリンを賭けてる時に微差で負けたのには泣きそうだった。そんな時にも真剣勝負を汚したくないからって言って負けた私にはプリンを「やっぱいいよ」とか言って渡したりは決してしないお兄ちゃん。でも、最後に「もう飽きた」とか嘘ついて一口分だけくれるお兄ちゃん。
ああ、お兄ちゃん。大好き。
お兄ちゃんとやる麻雀。楽しかったなあ。
なんで私達、成長しちゃうのかな。ずっとあの頃のままが良かったのにな……。
あの頃に想いを馳せて街の路上をぼんやりしながら歩いていたら全品千円という安っぽいペンダントや指輪やピアスが売ってる店でサイコロのピアスを見つけた。小さな黒いサイコロが2つ並んで1のゾロ目が出ているピアス。
サイコロを2つ使う遊びと言えば麻雀だ。私はそのピアスに一目惚れしてしまった。1の目の赤が宝石になっててとてもキレイだった。
「これ、ください」
「はいよー、千円ねー。ありがとう」
思わず買ったがピアスの穴はない。
(穴開けの機械買いに行くか……)
近くのデパートでそれは売っていた。今日は思わぬところでお金を使ってしまった。しばらく買い食いはしないで節約しよう。お金がないわけでもないが、
使い過ぎたら戻す。平たくしようとする力を意識する。それが自然の法則であり麻雀もそうだとお兄ちゃんに聞いたから。
その夜。
カシャン!
「痛ったーい!」
私の耳に小さな穴が開いた。
私はちょっとだけ大人になった気がした。
その数日後、隣の席の財前さんが私に話しかけてきた。
「佐藤さん、今日ちょっと放課後時間あるかな」なんて、なんだろう、なんだろう。
財前さんは背が丁度いいくらいに小さくて、前髪パッツンがとても似合ってて、そしてクラスいちの美人だ。なんの話だかわからないけどドキドキしてしまう。
それがまさか。麻雀の誘いとは夢にも思わなかった。
類は友を呼ぶ。それも自然の法則だってお兄ちゃんはそうも言ってたっけ。
3.第三話 テーブルゲーム研究部「…………ありません」 はー。負けた。私、将棋うまくないのかな。なんだろう、途中で面倒になっちゃうんだよね。読むの。自分の駒動かしてさっさと攻めたくなっちゃう。向いてないのかな。でも、悔しいな。 私、竹田杏奈。高校1年生。みんなにはアンって呼ばれてる。いとこのお兄ちゃんは将棋の天才で、私も自分で言っちゃうけど、そこそこアタマはいい方だからある程度、頭脳戦のゲームは強かった。 でも、ダメね。将棋は向いてないかも。攻めたい攻めたいって気持ちが前に出過ぎて読みが疎かになるのね。わかってはいるの。もう少し先まで考えなきゃって。でも、それが出来なくて。 それでも同級生の中では一番強かったんだけど、将棋部の上級生には敵わない。「やっぱ負けるとつまんないなー」と、私は当たり前のことを独りで呟いていた。 なんか、将棋にこだわることないかな。オセロとかチェスにも手を出してみようかな。自分の性格に合ったテーブルゲームがあるかもしれないし。 この学校の将棋部は強くて将棋部として知名度を上げていたが本来、この部活動の名前はテーブルゲーム研究部であり他のゲームも部室にたくさんあるのだ。私は久しぶりに倉庫を開けて別のゲームを見ていた。軍人将棋にダイヤモンドゲーム、モノポリーなど色々なゲームがそこには置いてあった。 その中で何だか分からない書道セットのようなエンジ色をしたケースが気になった。なんだろこれ。「よっ……と、なにこれ重っ!」コンコン! その時、部室の扉を叩く音がする。「どうぞー」「失礼します」 入ってきたのは黒髪ボブが似合う美人だった、青のリボンだから2年生だ。うちの学校はリボンが3色あって学年がわかるようになっている。今年度は1年生が赤色、2年生が青色、3年生は黄色のリボンである。正直赤が一番可愛い。私は今年ここに入れてラッキーだった。来年だったら試験を受けてすらいないかもしれない。黄色のリボンはピンとこない。少なくとも、私の好きな色ではない。青もしっくり来ない。性格に合わないと思う。赤の年度だったから入学を決めたのだ。 しかし、今入ってきた2年生には、やや切長の瞳に黒髪ボブで青のリボンというクールビューティーな組み合わせが見惚れる程似合っていた。「あなた、それ」 クールビューティーな2年生がその時急に私に近寄っ
4.第四話 麻雀部結成 カオリもマナミも仲間を見つけたので麻雀部(非公式)は部活動が可能になった。4人いれば卓は立つ。とりあえず4人はファミレスに集まって、自己紹介と今後のことを決めるミーティングを行なった。「さて、今日集まってもらったのは他でもありません。私達は本日より『麻雀部』となります。部長は私、財前マナミが担当しましょう。こっちは私の妹のカオリ。そしてこちらの方が佐藤ユウさん私達は高校2年生よ」「こちらは私の高校の1年生。名前は…… なんだっけ」「竹田アンナです」「そう、竹田さん。彼女を将棋部から引っ張ってきました」 彼女達は話し合い、どこで活動をするか? その拠点をまず決めた。────「ということで、活動拠点はご両親が不在の時が多い佐藤さんちで決まりね」「隣も畑とか駐車場とかで離れているそうだから近所迷惑にもならなくて丁度いいね」 活動拠点を決めた所で全員が連絡先を交換してグループトークをできるようにして今日の部活動は終わりにした。そして次の日 早速、4人は放課後に佐藤ユウの家に集まることに。 高校は違っても帰る時間は同じくらいなので駅前で待ち合わせる事にした。佐藤ユウの最寄駅は水戸駅でそこから徒歩15~20分程の所に佐藤家はある。決して近くはないが友達と話しながら一緒に歩いていたら何も気になりはしなかった。むしろその時間も楽しいと思える青春時代そのものであったのである。「ただいまー」「おじゃましまーす」「おかえり」 佐藤さんの家には誰か男性がいるようだった。今日はご両親は不在だと聞いたのだが。「お兄ちゃんが居るみたい。でも大丈夫、お兄ちゃんは麻雀部を歓迎してくれるはずよ。だってうちのお兄ちゃんは雀荘で働いているの」「それは好都合! なら、お兄さんには顧問役をやってもらいましょう。顧問兼立会人」「引き受けてくれるかなあ」「大丈夫よ、美少女が4人でお願いしたら断る男なんかいないわ」「それもそうね」 少女たちは好き勝手に言っていたが実際、4人がお願いしたら簡単に佐藤兄は引き受けた。「えー、というわけで佐藤スグルです。顧問を引き受けたからには全力で頑張ります。よろしくお願いします」「部室はお兄ちゃんの部屋でいいよね!」「なんで、それは自分の部屋使えよ」「だって私の部屋は四畳半よ? お兄ちゃんの部屋は六畳だしコ
5.第伍話 読みの竹田 まずは麻雀をやろうということで細かいことを考えるのはとりあえずやめて牌を触ることになった。 コタツの板をひっくり返す。そこには麻雀用のラシャがある。(これは特別な作りではなくて古いタイプのコタツは全部そうだ)押し入れから牌を引っ張り出してきてガシャッと広げる。黄土色の練り牌だ。「赤はどうする?」「1枚ずつ入れよう」「そうね、それが一般的だし、そうしましょう」「点数は?」「25000持ち」「イチニーヨントーね」 イチニーヨントーとは一万点棒を1本、五千点棒を2本、千点棒を4本、百点棒を10本という状態を原点としますという意味だ。一般的な麻雀セットに五百点棒は入っていないのでこれが通常。 牌をジャラジャラとかき混ぜて裏返しにして17枚を集める。それを1列としコタツの端っこでシャンときれいに揃えると、もう17枚をさらにそこにきれいに揃えて2列目も整え、その2列目の上に1列目を乗せる。ガシャン これを4人ともがやって『山』が完成する。牌の枚数は34種136枚なので17×8で丁度だ。サイコロを振って親を決めたらゲーム開始! ついにこの日、麻雀部の記念すべき1回戦が始まったのであった。東家 財前カオリ南家 財前マナミ西家 佐藤ユウ北家 竹田アンナ立会人は佐藤スグル「「よろしくお願いします!!」」 元気よく挨拶をしてゲームが始まった。「リーチ」打⑨ 東1局は親のカオリが見事な山読みをして先制リーチを打つ。しかしこの場には竹田アンナの罠があったのだった。その罠にカオリはものの見事にハマってしまう。竹田アンナ手牌二三八八⑦⑧233445西西 ドラは3 高め高めと引けばタンヤオも付くのでここから切る牌は西が合理的だと言える。が、アンナがこの時見ていたのはカオリの捨て牌とユウの捨て牌。 カオリの捨て牌には④③が4巡目5巡目と並んでいた。そして西家のユウは2巡目に西切り。アンナの選択打八 立会人のスグルはそれを見ていてこっそり耳打ちする。(あのさ、竹田さんは役は全部知ってるのかな?)(あ、タンヤオのことですか? 大丈夫ですよ。知っててコレ切りなんです。あとで理由は言いますね) スグルには意図が分からなかった。西はあとで安全牌として落とすことを考えてるのだろうか? でもこれは勝負手だからオリや迂回を
6.第六話 学びの共有「さて、ここでちょっと止めてこの局の学びを共有しようか」とスグルが言う。佐藤スグルは立会人兼顧問だ、それを提案する権利がある。「まず、この局。カオリちゃんが凄かった。3巡目に捨てた六萬。これはなかなか切れないものだ。ユウの1巡目が九萬でありながら2巡目には西が出たことから六萬を持っていそうだと予想したんだよね?」 手牌に六九西とあれば七八をケアしている牌が六と九で被っているので字牌より先に九から打ち出すのが攻守において効率的な手順である。「はい、その通りです」 カオリは驚いた。あんな誰も見てくれないであろう一打をしっかり思考まで理解してくれているなんて。と。(さすが…… これが、仕事で麻雀をやる人間ということなのかな)「なので、チートイツ本線の手がきたカオリちゃんは薄い上にど真ん中の六萬なんかいらないなと嫌う。それが幸いして残した牌は重なりチートイツテンパイ。1枚切れの西かまあまあ良さげな⑨筒の選択だけど、それなら1枚切れオタ風単騎にした方がアガりやすいだろうと⑨切ってリーチ。見事な手順でした、しかし……」 そう、しかし…… だ。その手順は嵌められていた。「しかし、それを見こしていたのがアンナちゃんでしたね。序盤のど真ん中牌切りやリャンメンターツ落としを見て読んだわけだ。チートイツかチャンタか一色か単純に材料豊富で余ったか、決定は出来ないけど高確率で字牌を重宝してる手が入ってそうだと察して、西がもう無いという情報をタンヤオを犠牲にしてでもひた隠しにした。これが凄い!」「えへへー。この手は高打点確定の手でしたから不確定なイーハンくらい戦略のためなら下げてもいいし、捨て牌読みならテーブルゲーム研究部の私にはお手のものですゥ。将棋の読みと違ってその先その先って考えなきゃいけないやつじゃないしね。麻雀は私の性格に合ってるのかも!」 その後、東2局以降特筆すべき手順はなく、初めてのゲームは竹田アンナのトップで終了した。驚くべきは、スグルが見る限り誰も手順ミスをしていない。 スグルは彼女たちに麻雀を教えるつもりでいたがそれはとんでもない思い違いであった。既に4人は基礎は学び終えていて、むしろ自分が教えてもらうことが多そうだと、この半荘1回で痛感していたのだった。
7.第七話 ハイレベルな攻防 気付いたらもう佐藤家に来て2時間半くらい時間が経っていた。「あれ! もうこんな時間!? 帰らなきゃ!」 麻雀をやっていると時間が経つのが早い。それは全雀士が認めるところだと思う。とにかく麻雀は時間を奪う遊びなのである。「また明日も集まれる人!」そうマナミが言うとスグル以外の全員が同時にハイ! と言った。「え、お兄ちゃん集まれないの?」「変則シフトだからなあ。明日は多分難しいよ、また今度な」「じゃあ部屋だけ借りるね」「いいけど、あれこれ散らかすなよ?」「承知!」 今日の所はこれで解散とし、また明日ここで麻雀をする。そう約束して財前姉妹と竹田アンナは帰って行った。 次の日「…りち」 オーラスにマナミがリーチしてきた。まだ3巡目で安全牌は字牌1枚しかない。マナミは西家で2着目。トップ目のカオリは北家で16800点差。つまり、8000直撃でも転落しないし、3000.6000をツモられても捲られることはないということ。そして何よりマナミのリーチ宣言のやる気のなさ。「…りち」ってなんだよ。まあ二着でいいや。って言う気持ちが漏れてるような発声だ。(この辺かな?)一発目だけ現物を切るとそれ以降は差し込みに回るカオリ。「ロン。メンピン…2000」「カオリ先輩ここから差し込みなんて厳しいです~! だいたいハネマンだったらどうするんですか?」とオーラス親番だったアンナが言う。「アンちゃんは麻雀上手なのはもう昨日わかったから。モタモタしてたらアンちゃんにリーチされちゃうかもでしょ? リーチ棒出されたら(裏とか乗って満貫級になる可能性もあるから)差し込めないし。それに私達は仮にも姉妹よ。マナミが考えることなんてお見通し。このリーチは絶対に安いって分かってたの。まあ、わざわざ役ありを差し込ませるためにリーチしてるとは思わなかったけど」「へへ、ダマが普通かとは思ったんだけどね。でもリーチしたらカオリが差し込みするかと思って」「悔しいいい! アンナはハネマンの一向聴だったのに!」するとユウも「私だってハネマン好形二向聴だよ!」「おー危な!」 今回、カオリの差し込み判断は完璧な選択であった。それをさせるために役ありをリーチしたマナミもまたすごかった。 これから先このようなハイレベルな攻防が佐藤家の中で数々繰り広げられる
【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜 ――人はごく稀に神化するという。 ある仮説によれば全ての神々には元の姿があり、なんらかのきっかけで神へと姿を変えることがあるとか。 そして神は様々な所に現れる。それは麻雀界とて例外ではない。 この話は、麻雀の神とそれに深く関わった少女あるいは少年たちの熱い青春の物語。その大全である。 ◆◇◆◇もくじ➖️メインストーリー➖️一章 【財前姉妹】〜麻雀少女青春奇譚〜二章 【闇メン】〜エキスパート裏メンバー派遣会社〜三章 【護りのミサト!】〜女流雀士冒険譚〜四章 【スノウドロップ】〜ゼロから始める異世界麻雀教室〜伍章 【ジンギ!】〜北山銀次物語〜六章 【あなた好みに切ってください】〜桐谷進の生き方〜七章 【コバヤシ君の日報】〜あるユニークな店員の日常〜八章 【カラスたちの戯れ】〜麻雀青春物語〜➖️サイドストーリー➖️1.西団地のヒロイン2.厳重注意!3.約束4.愛さん5.相合傘6.猫7.木嶋秀樹の自慢話➖️テーマソング➖️戦場の足跡➖️エンディングテーマ➖️結果ロンhappy end表紙イラストしろねこ。◆◇◆◇はじめまして、彼方です! 麻雀の楽しさを1人でも多くの人に伝えたくてこの物語を書いています。良いと思いましたらぜひ拡散の方をよろしくお願いします!この小説の読み方は──── ──これは時間の経過です。2つなら少しの、3つなら大きな時間の経過になります。── ────これは時間の遡りです。────これはちょっとした区切りです。◆◇◆◇これは視点変更か大きな区切りです。 これを意識していれば視点混乱などしないで読めると思います。それでは、彼方流麻雀小説の世界をお楽しみ下さい――
1. ――私は弱い。それを自覚したのはけっこう早くて。今でもその感覚はあるんだけど。 でも、弱いって得なこともあって。同じことを経験しても私の方が成長が多かったり、何気ないことから教えてもらえたりして。年下だろうが動物だろうが全てが教師になり得る。それが弱者の特権なのよ。ね、悪くないでしょ、そういうの。 私は弱い、とくにあの頃。まだ彼女達と出会ったばかりの頃。私は一番弱くって。一番、楽しんでた。一章 財前姉妹 ~麻雀少女青春奇譚~ その1第一話 財前姉妹 ピピピピピピピピピピ……「やめ! 鉛筆を置いて下さい。答案用紙を回収します」 ここは日本プロ麻雀師団の試験会場。私はいまプロ試験を受けている。 休憩を挟んだら次は小論文だ。テーマはどんな麻雀プロになりたいのか。 私はそこに自分の想いを短く纏めた。【私のなりたいプロ】受験番号22財前香織 勝って笑うことは誰でも出来る。私は負けた時にも笑って勝者を讃えることの出来る人になりたい。真剣に向き合うことで負けの悔しさは増えるでしょう。つらくて涙の出る時も来るかもしれない。でも、本気でやり合えた試合を喜び。勝者を讃える人になりたい。私は麻雀そのもの。試合そのものを愛しているのだから。そんな器のプロになりたい。(なりたい、なりたい、か。……違うな。私はプロに、なりたいんじゃない。……必ず『なる』んだ!) そんな器のプロになりたい。のあと、私はこう加えて文章をしめた。 そしていつかは、誰よりも讃えられたプロに私は、なる。 これは後の麻雀界を大きく変えていく伝説の雀士たちの青春奇譚である。 ときは、遡る――────────────────── 私、財前カオリ。マナミと2人で財前姉妹と呼ばれる未来の麻雀プロよ。 私達姉妹は血の繋がりはない同い年の姉妹。親の再婚で16.17の時に姉妹になったの。でも、私達が打ち解けるのには全く時間は要らなかった。なぜなら私達は2人とも麻雀が大好きだったから。 女子高生で麻雀好きなんて、なかなかいない。なので奇異の目で見られるのを恐れた私は自分のこの趣味をなるべく隠していた。でも、同じ家で暮らす人にはバレるよね。まして姉妹で同じ部屋ならさ。 私の部屋には使ってない広いロフトがあった。そこを新しい家族であるマナミに使わせる事になったのだ。 ロ
7.第七話 ハイレベルな攻防 気付いたらもう佐藤家に来て2時間半くらい時間が経っていた。「あれ! もうこんな時間!? 帰らなきゃ!」 麻雀をやっていると時間が経つのが早い。それは全雀士が認めるところだと思う。とにかく麻雀は時間を奪う遊びなのである。「また明日も集まれる人!」そうマナミが言うとスグル以外の全員が同時にハイ! と言った。「え、お兄ちゃん集まれないの?」「変則シフトだからなあ。明日は多分難しいよ、また今度な」「じゃあ部屋だけ借りるね」「いいけど、あれこれ散らかすなよ?」「承知!」 今日の所はこれで解散とし、また明日ここで麻雀をする。そう約束して財前姉妹と竹田アンナは帰って行った。 次の日「…りち」 オーラスにマナミがリーチしてきた。まだ3巡目で安全牌は字牌1枚しかない。マナミは西家で2着目。トップ目のカオリは北家で16800点差。つまり、8000直撃でも転落しないし、3000.6000をツモられても捲られることはないということ。そして何よりマナミのリーチ宣言のやる気のなさ。「…りち」ってなんだよ。まあ二着でいいや。って言う気持ちが漏れてるような発声だ。(この辺かな?)一発目だけ現物を切るとそれ以降は差し込みに回るカオリ。「ロン。メンピン…2000」「カオリ先輩ここから差し込みなんて厳しいです~! だいたいハネマンだったらどうするんですか?」とオーラス親番だったアンナが言う。「アンちゃんは麻雀上手なのはもう昨日わかったから。モタモタしてたらアンちゃんにリーチされちゃうかもでしょ? リーチ棒出されたら(裏とか乗って満貫級になる可能性もあるから)差し込めないし。それに私達は仮にも姉妹よ。マナミが考えることなんてお見通し。このリーチは絶対に安いって分かってたの。まあ、わざわざ役ありを差し込ませるためにリーチしてるとは思わなかったけど」「へへ、ダマが普通かとは思ったんだけどね。でもリーチしたらカオリが差し込みするかと思って」「悔しいいい! アンナはハネマンの一向聴だったのに!」するとユウも「私だってハネマン好形二向聴だよ!」「おー危な!」 今回、カオリの差し込み判断は完璧な選択であった。それをさせるために役ありをリーチしたマナミもまたすごかった。 これから先このようなハイレベルな攻防が佐藤家の中で数々繰り広げられる
6.第六話 学びの共有「さて、ここでちょっと止めてこの局の学びを共有しようか」とスグルが言う。佐藤スグルは立会人兼顧問だ、それを提案する権利がある。「まず、この局。カオリちゃんが凄かった。3巡目に捨てた六萬。これはなかなか切れないものだ。ユウの1巡目が九萬でありながら2巡目には西が出たことから六萬を持っていそうだと予想したんだよね?」 手牌に六九西とあれば七八をケアしている牌が六と九で被っているので字牌より先に九から打ち出すのが攻守において効率的な手順である。「はい、その通りです」 カオリは驚いた。あんな誰も見てくれないであろう一打をしっかり思考まで理解してくれているなんて。と。(さすが…… これが、仕事で麻雀をやる人間ということなのかな)「なので、チートイツ本線の手がきたカオリちゃんは薄い上にど真ん中の六萬なんかいらないなと嫌う。それが幸いして残した牌は重なりチートイツテンパイ。1枚切れの西かまあまあ良さげな⑨筒の選択だけど、それなら1枚切れオタ風単騎にした方がアガりやすいだろうと⑨切ってリーチ。見事な手順でした、しかし……」 そう、しかし…… だ。その手順は嵌められていた。「しかし、それを見こしていたのがアンナちゃんでしたね。序盤のど真ん中牌切りやリャンメンターツ落としを見て読んだわけだ。チートイツかチャンタか一色か単純に材料豊富で余ったか、決定は出来ないけど高確率で字牌を重宝してる手が入ってそうだと察して、西がもう無いという情報をタンヤオを犠牲にしてでもひた隠しにした。これが凄い!」「えへへー。この手は高打点確定の手でしたから不確定なイーハンくらい戦略のためなら下げてもいいし、捨て牌読みならテーブルゲーム研究部の私にはお手のものですゥ。将棋の読みと違ってその先その先って考えなきゃいけないやつじゃないしね。麻雀は私の性格に合ってるのかも!」 その後、東2局以降特筆すべき手順はなく、初めてのゲームは竹田アンナのトップで終了した。驚くべきは、スグルが見る限り誰も手順ミスをしていない。 スグルは彼女たちに麻雀を教えるつもりでいたがそれはとんでもない思い違いであった。既に4人は基礎は学び終えていて、むしろ自分が教えてもらうことが多そうだと、この半荘1回で痛感していたのだった。
5.第伍話 読みの竹田 まずは麻雀をやろうということで細かいことを考えるのはとりあえずやめて牌を触ることになった。 コタツの板をひっくり返す。そこには麻雀用のラシャがある。(これは特別な作りではなくて古いタイプのコタツは全部そうだ)押し入れから牌を引っ張り出してきてガシャッと広げる。黄土色の練り牌だ。「赤はどうする?」「1枚ずつ入れよう」「そうね、それが一般的だし、そうしましょう」「点数は?」「25000持ち」「イチニーヨントーね」 イチニーヨントーとは一万点棒を1本、五千点棒を2本、千点棒を4本、百点棒を10本という状態を原点としますという意味だ。一般的な麻雀セットに五百点棒は入っていないのでこれが通常。 牌をジャラジャラとかき混ぜて裏返しにして17枚を集める。それを1列としコタツの端っこでシャンときれいに揃えると、もう17枚をさらにそこにきれいに揃えて2列目も整え、その2列目の上に1列目を乗せる。ガシャン これを4人ともがやって『山』が完成する。牌の枚数は34種136枚なので17×8で丁度だ。サイコロを振って親を決めたらゲーム開始! ついにこの日、麻雀部の記念すべき1回戦が始まったのであった。東家 財前カオリ南家 財前マナミ西家 佐藤ユウ北家 竹田アンナ立会人は佐藤スグル「「よろしくお願いします!!」」 元気よく挨拶をしてゲームが始まった。「リーチ」打⑨ 東1局は親のカオリが見事な山読みをして先制リーチを打つ。しかしこの場には竹田アンナの罠があったのだった。その罠にカオリはものの見事にハマってしまう。竹田アンナ手牌二三八八⑦⑧233445西西 ドラは3 高め高めと引けばタンヤオも付くのでここから切る牌は西が合理的だと言える。が、アンナがこの時見ていたのはカオリの捨て牌とユウの捨て牌。 カオリの捨て牌には④③が4巡目5巡目と並んでいた。そして西家のユウは2巡目に西切り。アンナの選択打八 立会人のスグルはそれを見ていてこっそり耳打ちする。(あのさ、竹田さんは役は全部知ってるのかな?)(あ、タンヤオのことですか? 大丈夫ですよ。知っててコレ切りなんです。あとで理由は言いますね) スグルには意図が分からなかった。西はあとで安全牌として落とすことを考えてるのだろうか? でもこれは勝負手だからオリや迂回を
4.第四話 麻雀部結成 カオリもマナミも仲間を見つけたので麻雀部(非公式)は部活動が可能になった。4人いれば卓は立つ。とりあえず4人はファミレスに集まって、自己紹介と今後のことを決めるミーティングを行なった。「さて、今日集まってもらったのは他でもありません。私達は本日より『麻雀部』となります。部長は私、財前マナミが担当しましょう。こっちは私の妹のカオリ。そしてこちらの方が佐藤ユウさん私達は高校2年生よ」「こちらは私の高校の1年生。名前は…… なんだっけ」「竹田アンナです」「そう、竹田さん。彼女を将棋部から引っ張ってきました」 彼女達は話し合い、どこで活動をするか? その拠点をまず決めた。────「ということで、活動拠点はご両親が不在の時が多い佐藤さんちで決まりね」「隣も畑とか駐車場とかで離れているそうだから近所迷惑にもならなくて丁度いいね」 活動拠点を決めた所で全員が連絡先を交換してグループトークをできるようにして今日の部活動は終わりにした。そして次の日 早速、4人は放課後に佐藤ユウの家に集まることに。 高校は違っても帰る時間は同じくらいなので駅前で待ち合わせる事にした。佐藤ユウの最寄駅は水戸駅でそこから徒歩15~20分程の所に佐藤家はある。決して近くはないが友達と話しながら一緒に歩いていたら何も気になりはしなかった。むしろその時間も楽しいと思える青春時代そのものであったのである。「ただいまー」「おじゃましまーす」「おかえり」 佐藤さんの家には誰か男性がいるようだった。今日はご両親は不在だと聞いたのだが。「お兄ちゃんが居るみたい。でも大丈夫、お兄ちゃんは麻雀部を歓迎してくれるはずよ。だってうちのお兄ちゃんは雀荘で働いているの」「それは好都合! なら、お兄さんには顧問役をやってもらいましょう。顧問兼立会人」「引き受けてくれるかなあ」「大丈夫よ、美少女が4人でお願いしたら断る男なんかいないわ」「それもそうね」 少女たちは好き勝手に言っていたが実際、4人がお願いしたら簡単に佐藤兄は引き受けた。「えー、というわけで佐藤スグルです。顧問を引き受けたからには全力で頑張ります。よろしくお願いします」「部室はお兄ちゃんの部屋でいいよね!」「なんで、それは自分の部屋使えよ」「だって私の部屋は四畳半よ? お兄ちゃんの部屋は六畳だしコ
3.第三話 テーブルゲーム研究部「…………ありません」 はー。負けた。私、将棋うまくないのかな。なんだろう、途中で面倒になっちゃうんだよね。読むの。自分の駒動かしてさっさと攻めたくなっちゃう。向いてないのかな。でも、悔しいな。 私、竹田杏奈。高校1年生。みんなにはアンって呼ばれてる。いとこのお兄ちゃんは将棋の天才で、私も自分で言っちゃうけど、そこそこアタマはいい方だからある程度、頭脳戦のゲームは強かった。 でも、ダメね。将棋は向いてないかも。攻めたい攻めたいって気持ちが前に出過ぎて読みが疎かになるのね。わかってはいるの。もう少し先まで考えなきゃって。でも、それが出来なくて。 それでも同級生の中では一番強かったんだけど、将棋部の上級生には敵わない。「やっぱ負けるとつまんないなー」と、私は当たり前のことを独りで呟いていた。 なんか、将棋にこだわることないかな。オセロとかチェスにも手を出してみようかな。自分の性格に合ったテーブルゲームがあるかもしれないし。 この学校の将棋部は強くて将棋部として知名度を上げていたが本来、この部活動の名前はテーブルゲーム研究部であり他のゲームも部室にたくさんあるのだ。私は久しぶりに倉庫を開けて別のゲームを見ていた。軍人将棋にダイヤモンドゲーム、モノポリーなど色々なゲームがそこには置いてあった。 その中で何だか分からない書道セットのようなエンジ色をしたケースが気になった。なんだろこれ。「よっ……と、なにこれ重っ!」コンコン! その時、部室の扉を叩く音がする。「どうぞー」「失礼します」 入ってきたのは黒髪ボブが似合う美人だった、青のリボンだから2年生だ。うちの学校はリボンが3色あって学年がわかるようになっている。今年度は1年生が赤色、2年生が青色、3年生は黄色のリボンである。正直赤が一番可愛い。私は今年ここに入れてラッキーだった。来年だったら試験を受けてすらいないかもしれない。黄色のリボンはピンとこない。少なくとも、私の好きな色ではない。青もしっくり来ない。性格に合わないと思う。赤の年度だったから入学を決めたのだ。 しかし、今入ってきた2年生には、やや切長の瞳に黒髪ボブで青のリボンというクールビューティーな組み合わせが見惚れる程似合っていた。「あなた、それ」 クールビューティーな2年生がその時急に私に近寄っ
2.第二話 類は友を呼ぶ 私、財前マナミ。旧姓は石井。カオリと2人で財前姉妹って言われる後の麻雀プロよ。ここではまだ女子高生だけど。 物語は高2の春に始まったわ。 私達は高2の春頃に親の再婚で一緒に暮らす事になって。同じ部屋を2人で分けて使ってたからプライバシーなんか無かったわ。(特にカオリには)でもそれが今では良かった気がするの。おかげでカオリが私と同じ趣味を持っていることにすぐ気付けたから。 カオリの部屋には麻雀の本が沢山あった。雑誌、漫画、戦術書。ここから察するにカオリの麻雀は理論で詰めてくものなのかも知れないと推測できた。 私は全く逆で、私の持ってる麻雀グッズと言えば携帯型ゲーム機の麻雀やリアルな麻雀牌など実戦ありきで、私は実戦経験を何より大切にするタイプなの。 だから私はこれは好都合と、カオリから学んでこうと思った。「麻雀部作んない?」 私は提案した。カオリには将棋部から探してもらうことにした。将棋部なら麻雀好きもいると思ったのだ。私は隣の席の黒髪の美少女を誘うつもりだ。彼女は佐藤ユウさん。普段は耳の隠れた髪型をしてるが私は隣の席だから彼女がピアスをあけてるのを知っている。そのピアスは小さなサイコロが2つピンゾロになってるピアスだった。サイコロを2つ使う遊びは麻雀しか私は知らない。きっと彼女は麻雀をする。そんな気がする。「佐藤さん。今日ちょっと放課後時間あるかな」 私は佐藤ユウに話しかけてみた。◆◇◆◇ 私は佐藤ユウ。少し歳の離れたお兄ちゃんが大好きな普通の高校2年生。うちは共働きで両親とも家にいなかったり家でも仕事してたりして小さい頃から私はお兄ちゃんに面倒を見てもらって育った。 そのお兄ちゃんも今では仕事に出ちゃってるからあまり遊んでくれないし。 わかってるよ。高校2年生にもなったらお兄ちゃんと遊んでる方が変なんでしょ。でも、私はお兄ちゃんと2人でやる麻雀が好きだったな。お風呂掃除とかゴミ出し係とか今日の晩御飯作るとか、そんなことを賭けてやる麻雀。おやつのプリンを賭けてる時に微差で負けたのには泣きそうだった。そんな時にも真剣勝負を汚したくないからって言って負けた私にはプリンを「やっぱいいよ」とか言って渡したりは決してしないお兄ちゃん。でも、最後に「もう飽きた」とか嘘ついて一口分だけくれるお兄ちゃん。 ああ、お兄ちゃん。
1. ――私は弱い。それを自覚したのはけっこう早くて。今でもその感覚はあるんだけど。 でも、弱いって得なこともあって。同じことを経験しても私の方が成長が多かったり、何気ないことから教えてもらえたりして。年下だろうが動物だろうが全てが教師になり得る。それが弱者の特権なのよ。ね、悪くないでしょ、そういうの。 私は弱い、とくにあの頃。まだ彼女達と出会ったばかりの頃。私は一番弱くって。一番、楽しんでた。一章 財前姉妹 ~麻雀少女青春奇譚~ その1第一話 財前姉妹 ピピピピピピピピピピ……「やめ! 鉛筆を置いて下さい。答案用紙を回収します」 ここは日本プロ麻雀師団の試験会場。私はいまプロ試験を受けている。 休憩を挟んだら次は小論文だ。テーマはどんな麻雀プロになりたいのか。 私はそこに自分の想いを短く纏めた。【私のなりたいプロ】受験番号22財前香織 勝って笑うことは誰でも出来る。私は負けた時にも笑って勝者を讃えることの出来る人になりたい。真剣に向き合うことで負けの悔しさは増えるでしょう。つらくて涙の出る時も来るかもしれない。でも、本気でやり合えた試合を喜び。勝者を讃える人になりたい。私は麻雀そのもの。試合そのものを愛しているのだから。そんな器のプロになりたい。(なりたい、なりたい、か。……違うな。私はプロに、なりたいんじゃない。……必ず『なる』んだ!) そんな器のプロになりたい。のあと、私はこう加えて文章をしめた。 そしていつかは、誰よりも讃えられたプロに私は、なる。 これは後の麻雀界を大きく変えていく伝説の雀士たちの青春奇譚である。 ときは、遡る――────────────────── 私、財前カオリ。マナミと2人で財前姉妹と呼ばれる未来の麻雀プロよ。 私達姉妹は血の繋がりはない同い年の姉妹。親の再婚で16.17の時に姉妹になったの。でも、私達が打ち解けるのには全く時間は要らなかった。なぜなら私達は2人とも麻雀が大好きだったから。 女子高生で麻雀好きなんて、なかなかいない。なので奇異の目で見られるのを恐れた私は自分のこの趣味をなるべく隠していた。でも、同じ家で暮らす人にはバレるよね。まして姉妹で同じ部屋ならさ。 私の部屋には使ってない広いロフトがあった。そこを新しい家族であるマナミに使わせる事になったのだ。 ロ
【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜 ――人はごく稀に神化するという。 ある仮説によれば全ての神々には元の姿があり、なんらかのきっかけで神へと姿を変えることがあるとか。 そして神は様々な所に現れる。それは麻雀界とて例外ではない。 この話は、麻雀の神とそれに深く関わった少女あるいは少年たちの熱い青春の物語。その大全である。 ◆◇◆◇もくじ➖️メインストーリー➖️一章 【財前姉妹】〜麻雀少女青春奇譚〜二章 【闇メン】〜エキスパート裏メンバー派遣会社〜三章 【護りのミサト!】〜女流雀士冒険譚〜四章 【スノウドロップ】〜ゼロから始める異世界麻雀教室〜伍章 【ジンギ!】〜北山銀次物語〜六章 【あなた好みに切ってください】〜桐谷進の生き方〜七章 【コバヤシ君の日報】〜あるユニークな店員の日常〜八章 【カラスたちの戯れ】〜麻雀青春物語〜➖️サイドストーリー➖️1.西団地のヒロイン2.厳重注意!3.約束4.愛さん5.相合傘6.猫7.木嶋秀樹の自慢話➖️テーマソング➖️戦場の足跡➖️エンディングテーマ➖️結果ロンhappy end表紙イラストしろねこ。◆◇◆◇はじめまして、彼方です! 麻雀の楽しさを1人でも多くの人に伝えたくてこの物語を書いています。良いと思いましたらぜひ拡散の方をよろしくお願いします!この小説の読み方は──── ──これは時間の経過です。2つなら少しの、3つなら大きな時間の経過になります。── ────これは時間の遡りです。────これはちょっとした区切りです。◆◇◆◇これは視点変更か大きな区切りです。 これを意識していれば視点混乱などしないで読めると思います。それでは、彼方流麻雀小説の世界をお楽しみ下さい――